曽我蕭白 奇想ここに極まれり

曽我蕭白 奇想ここに極まれり 曽我蕭白

曽我蕭白 奇想ここに極まれりについて

伊藤若冲とともに「奇想」の画家として知られる曽我蕭白(1730~1781年)の画業を紹介する企画展が、愛知県美術館で開催されます。

重要文化財の《唐獅子図》や《松鷹図》など、力強い筆墨で、超現実的な世界を描き出した蕭白の作品は、グロテスクでありながらおかしみもたたえ、見る人を惹きつけて止みません。

同展覧会では、蕭白の初期から順に晩年までの作品が展示され、生涯の画業を通観できる内容となっています。

原点となった桃山時代の絵画や、江戸時代初期の絵画との関係を掘り下げることで、蕭白がいかにして型を破り、奇矯な画風を打ち立てたのかが明らかにされるとともに、晩年の作品への変化を通して、その画業の到達点を見定めます。

※会期中一部展示替えあり/前期:10月8日~31日、中期:11月2日~16日、後期:11月17日~21日

曽我蕭白 奇想ここに極まれり

曽我蕭白(そが しょうはく)とは

曽我蕭白(1730~1781)は伊勢松坂や播州高砂、そして京で活躍した絵師です。生まれは京の商家であったと判明していますが、絵を描き始めた時期や動機は不明です。

師と目される高田敬輔(たかだ けいほ)(1674~1755)は、太く濃い墨線を基調とした画風で多くの作品を制作し、晩年は滋賀県日野を拠点としていました。蕭白の画風は敬輔だけでなく、室町時代の水墨画や桃山時代の狩野派、中国絵画などさまざまな作品から影響を受けています。

見る人に強烈な印象を与える醜怪な表現は、江戸時代中期に活躍した他の絵師の作品に比べて極めて異色です。例えば、朝田寺蔵の《唐獅子図》は、神獣である唐獅子の表情が剽軽に描かれています。一方で、太い筆で一気呵成に描きあげた滝の墨線や、激しい打ち込みと思い切りの良い運筆で描かれた唐獅子の輪郭は、神秘的な唐獅子の力強さを表現しています。

また、文化庁蔵の《群仙図屏風》は蕭白が描いた濃着色の作品として有名です。右隻の水流を巻き上げる龍や艶やかな鳳凰、左隻の子供を連れた高士の表情や妖艶な目線を送る西王母(せいおうぼ)などが作り上げる不気味な雰囲気が、超自然的な仙境の世界を見事に表現しています。

それまでの絵画の伝統から逸脱した怪しげな表現を特徴とした蕭白ですが、晩年はその毒気を抜かれたように落ち着きを見せます。岩皴(がんしゅん)や楼閣を綿密に描き込み、点景人物に画題解釈を込めるような山水図は、最盛期の異様な画風とは違う方向へのこだわりが現れています。

各地を遊歴した蕭白も晩年は京に落ち着き、作品を制作しました。その謹直な画風は、奇人とされるエピソードも数多く伝わる蕭白の意外な一面を示しています。

曽我蕭白 奇想ここに極まれり

曽我蕭白 みどころ

力強い筆墨と極彩色で超現実的な世界を描き出した曽我蕭白(1730-81)のあくの強い画面は、グロテスクでありながらおかしみもたたえ、見る人をひきつけて止みません。本展では、強烈な印象を与える蕭白の醜怪な表現を紹介すると共に、その原点となった桃山時代の絵画、そして江戸時代初期の絵画との関係を掘り下げることで、蕭白がいかにして型を破り、奇矯な画風を打ち立てたのかを明らかにし、また晩年の作品への変化を通して画業の到達点を見定めます。

※会期中一部展示替えがあります。
(前期:10/8−10/31、中期:11/2−11/16、後期:11/17−11/21)

蕭白の描く人物は、楽しげな表情や憂いをたたえた表情であってもどこか怪しげな印象を与えます。謎めいた表情の人物たちに蕭白が何を語らせようとしているのか、様々な解釈を呼ぶところが魅力の一つです。

蕭白は、仙人たちが集う幻想的な空間を、鮮やかな色彩と巧みな水墨表現によって描きました。左隻の高士(こうし)たちの異様な面貌とそれを見下ろす西王母(せいおうぼ)の淫靡(いんび)な表情、右隻に描き込まれた執拗な岩皴(がんしゅん)と雲龍の表現に逆巻く波濤(はとう)が不気味な雰囲気を作り出しています。

晩年の蕭白は、醜怪な作風から徐々に毒気を抜かれていくようにおとなしくなっていきます。しかし、均整の取れた画面構成と水墨の巧みな表現は依然として魅力的です。

名称 曽我蕭白 奇想ここに極まれり
(そがしょうはく きそうここにきわまれり)
所在地 〒461 – 8525
愛知県名古屋市東区東桜1-13-2
(愛知芸術文化センター10階)
開催期間 2021年10月8日~11月21日  10:00~18:00、金曜/~20:00
(いずれも入館は閉館30分前まで)
※休館日は毎週月曜
開催場所 名古屋市 愛知県美術館
交通アクセス 地下鉄東山線または地下鉄名城線「栄駅」から徒歩3分、または名鉄瀬戸線「栄町駅」から徒歩3分
主催 愛知県美術館、中日新聞社、日本経済新聞社、テレビ愛知
料金 平日限定券/一般1400円、大高生1100円
※土日祝日券は各200円増し。中学生以下無料
問合せ先 愛知県美術館 052-971-5511
ホームページ https://static.chunichi.co.jp/chunichi/pages/event/soga_shohaku/

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出典:奇想ここに極まれり|曽我蕭白(そが しょうはく)展